私は毎日、東京と大阪のTODAY!で、乳がん手術後の段階に応じた下着選びもお手伝いしている。141月から、人工乳房(インプラント)による再建が全面的に保険適用になってからというもの、乳がん手術として、<「乳房全摘+再建」手術を選択する方が増えたな~>ということを実感している。再建への流れが来ている!という感じ。

実際に、年間の乳がん手術数が1000件を超えるがん研有明病院(東京)では、20151月現在、全摘後に再建手術をされた方が6割になり、温存手術数を逆転したという記事(ダイヤモンドQ20153月号を目にした。

悪いところをとるためとは言え、女性が乳房を切除するというのは、やはり大変なことである。
乳房再建が全面的に保険適用内でできるようになったことは、とてもありがたいことだ。
乳腺外科と形成外科が連携して、「乳癌治療の根治性と整容性を両立」させるための知識や技術を向上させることを目的として「日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会」も発足した。

いままでは、およそ6割(病院によっては7割近く)の患者さんが乳房「温存」手術を選択していたが、今後は、「全摘+再建」手術を選択する患者さんが増え、それに伴い再建技術も、ますます向上していくであろう。

そんな中、毎日TODAY!で患者さんのお話をお伺いしていると、病院によっては、<温存手術ができる患者さんの場合でも、「全摘+再建」を積極的にすすめているな~>と感じることがある。保険適用になったことで、乳腺外科と形成外科が新たにチームを組んで乳房再建に取り組み始めた病院も少なからずあるようだが、乱暴な言い方をすると、病院、医師側が
<再建手術をやりたがっているのかな>と感じてしまうこともある。

もちろん、がんの位置や性質によっては、大きさが小さい場合でも「温存」ではなく「全摘」のほうが望ましい場合もある。大きくとる温存手術の場合は、「全摘+再建」のほうが整容性が高いこともあるだろう。しかし、あきらかに温存可能な場合でも、医師の説明の仕方によっては、「全摘+再建」に導かれる場合もあるし、昨今の再建への流れの中で、「どんな場合でも『全摘+再建』がよい」と思い込んでしまうケース、「全摘したら再建をするのがあたりまえ」と思ってしまうケース、「再建で、術前とまったく同じ乳房が再現できる」と思っている人さえいる。再建への正しい理解がされないまま、GO!すると、あとで「こんなはずじゃなかった・・・」ということになりかねない。

先日も、患者さんの言葉に、<この方は、本当に自ら再建を希望されたのだろうか>と少し疑問を持った。両側乳がん全摘手術後、エキスパンダー(拡張器)を入れて皮膚を伸ばしている途中の70代後半の方は、肌着があたるだけで痛くてたまらないので、やさしい下着がほしいとTODAY!にお越しになった。

「私は、再建はもういいかなーと思っていたんですけど、先生がしてくれるというので・・・」とおっしゃっていた。再建を自ら希望されたかどうかはこの言葉だけではわからないが、術後の病理結果から抗がん剤治療もすることになったこの方が、毎日、安心して治療と生活が送れるようにと願いながら・・・エキスパンダーを固定しつつも体にやさしくフィットするブラジャーと、締め付けない軽やかなウィッグをご案内した。

人工乳房による再建が全面的に保険適用になって1年ちょっと、当然ながら、まだ経験の浅い医師による再建手術もある。また、身体と人工物の相性が悪く、再建手術を途中で断念せざるを得ないことも。感染や被膜硬縮で人工物を取り出した後、TODAY!にブラジャーとブラのポケットに入れるシリコンパットを探しに来られる患者さんがいるのも事実である。(もちろん、そのような場合でも、ブラとパッドで、きれいなボディラインとやさしい気持ちを取り戻していただけるよう全力でお手伝いさせていただいている。)

ということで、これから手術の方法を選ぶ方に私がお伝えしたいことは、保険適用で再建ができやすくなった中でも、「温存」か、「全摘」か、「全摘+再建」か・・・自分の乳房をどうするかは、自分でよく考えて決めることが大切、ということ。手術への勝手な思い込みやイメージ、噂に流されてはいけない。術後の胸と付き合うのは自分自身だから。
まず、自分の病状をよく知ること。それに応じてどのような手術の選択と方法があるかを正しく理解すること。そのためには、まず、主治医の話をよくよく聞くことが必要だ。手術のイメージがつかめないときは、画に描いてもらってもよい。
再建を希望するときは、自家組織(自分の組織)でするのか、人工物でするのか、その違いなども十分理解しておきたい。外科医から連携する形成外科の医師には、自家組織再建を得意とする方と、人工物再建を得意とする方がいる(両方できる医師もいるが、どちらかを専門とされる方は多い)。いずれにしても、いままでに再建した乳房の写真を見せてもらうとよい。このとき、きれいな再建のことばかりではなく、どんなリスクが考えられるかも教えてくれる方なら信頼できるだろう。また、二期再建(乳房切除と同時ではなく、しばらく経ってから再建)を希望する場合は、自分の病院だけでなく、気になる再建の医師がいる場合は必ず話を聞きに行くこと。自ら取材に行くぐらいの気持ちで。再建は研究が必要だ。

一方、乳房全摘後、再建をしない選択ももちろんある。
「体の負担をできるだけ小さくするために、乳房切除以外の手術をしたくない」、「しばらくは治療に専念したい」、「再建できない事情がある」、「再建しようと思わない」などの理由で、再建しない場合もあるだろう。

そして、「温存したとき」、「全摘で再建しないとき」、「全摘で再建するとき」、それぞれの場合で、その後のブラジャーやパッドはどう変わるかを知っておくと、いろいろな場合の自分が想像でき、手術の選択がしやすくなる。
最近TODAY!には、手術方法の選択に悩んでいる患者さんが、看護師さんから「あそこに行って、いろいろ聞いてきたら」と言われて来られることがある。たとえば、再建をしない場合には、どんなブラやパッドがあるのか、実際に見たり触れたりすると、手術後の自分の身体と生活がイメージしやすくなり、自らの希望するものがはっきりしてくるのだ。

乳房手術をどうするか。
安易に流れにのるのではなく、人任せにするのではなく、悩みながらも、迷いながらも、自分の大切な乳房と真剣に向き合うとき、その選択は間違いないものとなるだろう。

パッド写真
再建しない場合も、ブラジャーとパッドを上手に利用して
術後の胸を守りながらボディラインとバランスを整えることができる

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