「治療中の脱毛ケアのためには、『医療用ウィッグ』じゃなきゃダメなんですよねと思っておられる方も少なくないだろう。でも、いったい『医療用ウィッグ』『普通のウィッグ』とはどこが違うの?」という疑問を持ったことはないだろうか。

病院に置かれた複数のウィッグメーカーのパンフレットにも「医療用」とあるし、インターネットで「医療用ウィッグ」と検索すると選べないほどたくさんのものが出てくる。治療中の患者さんの状態に配慮された特別な「医療用ウィッグ」というものが存在しているように思える。
しかし、実はいままで、「医療用ウィッグ」の統一された定義はなかった。

各メーカーが、自社のウィッグの「医療用のポイント」を吟味した上で製作販売している場合はいいのだが、とにかく「『医療用』とつけておけば売れるだろう』というメーカーも少なからずあるだろう。しかし、「医療用」という言葉は、薬事法などにも関わる言葉であり、安易には使えない
2014-15冬表紙
TODAY!カタログを最初につくったとき、内容や表現、文字について問題はないか、東京都庁の管轄部署で確認していただいたことがある。そのときに、「医療用」という言葉は、誤解が生じないよう慎重に使うべき言葉であることを教えていただいた。それ以来、
TODAY!カタログには、「医療用」と表記した商品は一切ない。

しかし最近では、ウィッグだけでなく、帽子などでも「医療用」と明記してあるものが増えてきた。
「治療中は必ず医療用帽子をお選びください。」
「治療中のデリケートな肌には医療用帽子でなければ・・・」

というような文言を堂々と書いている通販サイトを見かけると、何をもって医療用なのかと聞きたくなる。たとえどんなに良い商品であっても、このような書き方が安易にできること自体、勉強不足だし、患者さんを誘導しているように感じてしまう。

先日、改めて、厚生労働省の関係部署の方に、ウィッグに関しての「医療用」についてお伺いしてみたところ、『医療用』という言葉は誤解がないように、慎重に使う言葉であるとした上で、「でも、しかたないですかねー、私もネットで調べたら、すごい数の「医療用ウィッグ」が出てきて、これを全部やめてくれというわけにもいかないし、仕方がないかなという感じでしょうか」というような緩やかなお返事だった。

だからといって、その全てが治療中の患者さんが安心して使えるものになっているかどうかは疑問である。実際、いまは中国から簡単にウィッグを輸入することができるようになった。もちろん、安心して使えるものも多いと思うが、最近は、ウィッグの毛の中でも「人毛」の入手が難しくなっている(パーマやカラーをしたことがないピュアな髪を伸ばしていただいたものをカットして消毒や処理をしてから使っていたが、日本以外のアジアの国々が経済的に急成長する中、生活スタイルも変わっていき、ビュアな髪がとても貴重になり、さまざまな髪質のものが出回るようになった)。質の低い毛質のものでも、最終的に日本でカットして綺麗にブローして仕上げ、美しいホームページやナチュラル感をアピールしたカタログで紹介すれば、安心できる「医療用ウィッグ」に見えるのだ。さらに、工場での消毒や加工の仕方も確認出来ていない場合、万一、何かトラブルがあったときに責任がとれないものもある。抗がん剤には、たとえばドセタキセル(タキソテール)のような身体に発疹を出してくるものもある。薬で出ているのか、ウィッグなのか、汗なのか、アレルギーなのか・・・という話になったときも、どこの工場で、だれが作っているかもわからないウィッグでは、きちんとした説明も得られないだろう。

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私は、長年、厳選した複数のメーカーのウィッグを患者さんにかぶり比べていただきながら、ウィッグ選びをお手伝いしてきたものとして、少なくとも、治療中の患者さんがどのような状態であるか(脱毛から発毛までの流れ、ご体調や地肌の様子も)、また、どのような気持ちでウィッグをお選びになっているか、なども理解した上で、ウィッグづくりはもちろん、販売やその後の対応までしていくのが「医療用ウィッグ」を扱うものの責任だと思っている。

とはいえ、患者さんには、ちゃんとした安心できるウィッグかどうかは、なかなか見分けがつきにくい。カタログやホームページの出し方がうまいと、ますますわからない。そういうときは、まず聞いてみよう!
「こちらのウィッグの医療用のポイントはどこですか?」と。
これにはっきりとわかりやすく、誠意を持って応えられるメーカーなら第一関門クリアである。

ところで、ここ数年、「医療用ウィッグ」と明記した粗悪品も出回るようになり、2年前から「医療用ウィッグJIS化」が検討されていたが、ついに、今週420日に制定された。私も「JIS原案作成委員」として参加させていただいたが、これについては次回のブログに詳しく書くことにする。

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なお、TODAY!では、40数社のウィッグを吟味した上で、安心できるウィッグ厳選6社のものをご案内している。メーカーではない公平な視点から、治療中の
「ウィッグ選びの大事なポイント」をお伝えしながら、かぶり比べていただいている。

実際にかぶってみると、かぶり心地の違いなどもわかる。メーカーに直接行く前に、
ぜひ、TODAY!を利用してほしい。大勢の患者さんと複数メーカーのたくさんのウィッグに接してきた私たちの経験と専門性を利用してほしい。お一人おひとりのニーズと気持ちに一番ぴったりくるウィッグを一緒にお探ししたい。
あなたが笑顔になるウィッグを。ご予約はお気軽にどうぞ。
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