今年もまもなく終わろうとしている。

紅白のあと、そのまま、
「ゆく年、くる年」・・・永平寺!
除夜の鐘の音・・・

今年も、一年、本当にありがとうございました。

曽我は、今年一年も大勢の方と出会わせていただいた。
毎日、毎日、私は、あなたの心に灯をともしたいと思って
仕事をさせていただいた。

がんになっても、大丈夫。
人は、前に進むために生きている。
どんな困難があっても、心配しないで。
人は、かならず、守られている。

いま、一人でこのブログを見て、
年を越そうとしているあなたも、
ぜったい、大丈夫。
人は、前に進むようになっている。心配しなくていい。
宇宙も、自然も、人間も、生きているものすべて、
前に進む、一つの大きな命。
本当は、その境界線さえない、一つの大きな命。
愛に包まれたすばらしい命。生かされている。

曹洞宗大本山永平寺「禅の里まちづくり」講演会の前日、
後半のパネルディスカッションの打ち合わせのために、
私ははじめて永平寺を訪れた。
車を降りた瞬間、

日々の早歩きの時間感覚はぱたっとなくなり、

澄んだ空気を吸い込んで、背筋がぴーんと伸び、なんというのか・・・
ものすごーく自然体で、その空気に溶け込む一体感・・・を感じた。


よく知られている道元禅師の歌、

春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえで すずしかりけり

が、即座に頭に浮かんできた。

雪はなかったけれど、心身体まるごと全身全霊さわやか。
そして、ほっ、とした。 

これが永平寺と私のありがたい出会いの瞬間だった。

 

後日、講演会から戻って初めて知ったのだが、この歌の題は、

「本来面目(ほんらいのめんもく)」というそうで、

…本来の自分、あるがままの姿そのままですべてが一つ…

という感じを、(言葉では上手く言えないのだが)

ジャストそのまま感じたのである。

なにそれ?という方、一度、永平寺を訪れてみてほしい。

 

実は、曽我は、今回、曹洞宗のことも詳しく知らないし、禅をしたこともないまま、

「自由に、何を話していただいてもいいです」という

永平寺副監院の小林昌道様の言葉をそのまま素直に受け取り、

本当に自由にお話させていただいたのだが、

私が話したかったのは、

この歌、このままだったように思う(いま、気づいた…おそい!)。

 

春には花に

夏にはほととぎすに
秋には月に 
冬には雪に 

病になったら病に

困難のときは困難に
逆らうことなく、そのまま 
身を溶かし込んで一体になれば

自分が本来の姿を現す(本来面目?)。

そして、すべてと一体になる。

それさえわかれば、怖れることはない。
どんな瞬間も、逆らうことなく、身をまかせ、
ゆっくりと呼吸すると、
今、ここを、さわやかに、おだやかに、
生きられる。

どんな瞬間も、生かされていることがわかり、
この命に、ただただ、感謝できるのである。

TODAY!で一緒に仕事をしてくれている私の相棒、
がん患者生活コーディネーターの森が、ご主人と福井まで
講演を聞きに来てくれた。
東京に戻って、私が永平寺を訪れた瞬間の<一体感>を伝えたら、
森もこの歌は、よく知っていると言う。
子供の頃、近所の和菓子屋さんの包み紙に、この歌が書かれていたそうで、
和菓子を買って何度も目にするうちに、小さな森はこの歌を覚えてしまった。
あれからうん十年、まさか、人生ここにきて、この歌に再び出会うとは。

がんの体験をしたことで、がん患者さんの「役に立ちたい」と思う人は少なくない。この仕事に就きたいと言ってくださる人もいる。
VOL-NEXTでは、「がん患者生活コーディネーター養成講座」を6期行い、
全国で98人のコーディネーターを認定した。
その中で、TODAY!で仕事をしてくださった人も多くいた。
しかし、その志を持ち続け、モチベーションを維持し、何らかの形で、
いまも仕事を続けている人は少ない。それぞれの事情から、また、私の力が及ばなかったために、多くがこの仕事を離れた。しかし、全国で数人、挑戦し続け、ほんとうに丁寧に患者さんに向き合い続けている同志がいる。いつか、そんな一人ひとりをご紹介したい。

森も、そのうちの一人。全がん治療の知識を詰め込み勉強すればするほど、
患者さんの話を聴き、一人一人の生活と気持ちを知れば知るほど、
「本当に自分は役に立てているのだろか」と悩む。わかればわかるほど悩む。
曽我自身もいつも迷いの中。これで、いいのか。
この仕事を長年続けてきて、毎日患者さんと向き合って、はっきりわかったのは、
よく言われるようなピアサポートとして「傾聴する(話を聴くことに徹する)」ことだけでは、患者さんの問題は解決しない。では、どうするか。
がんワールドを突き抜けて、さらに味わい深い人生が待っていることを、私たちは伝えられる。生きてていいんだということを伝えられる。それを、どんな形でも、ウィッグやブラジャー一つを一緒に選びながらも、伝えることができるのだ。

子供の頃に覚えた歌が、いま、ここに現れたのは偶然じゃない。
大人になった(笑)私たちに、「本来面目」が響く。
よし、
TODAY!は、一人一人の本来の姿と出会える入口であろう。
本来の自分は、すごい。困難なときほど、本来の自分丸出しで、進化するチャンス。「自分らしい生きかた」はここにあることがわかる。

TODAY!に一歩踏み入れた方に、私が永平寺で感じたようなあの<さわやかな一体感>を感じていただきたい。本来の自分と出会い、ありのままの自分で前進していただけるよう、私たちは、全力で仕事をさせていただこう。森と熱く語り合っていたら、涙が出てきた。
きのうじゃない、あしたじゃない、今日生きる!TODAY!
 

永平寺のまちづくり講演会で、一番学びが多かったのは、そう、私、曽我なのだ。
「ゆく年くる年」の除夜の鐘の音に感謝が湧き上がる。
Zen-no-sato Koenkai
皆様のおかげで、私は生かされている。
今年一年、ありがとうございました。感謝で満たされて年を締めくくるのは幸せなことだ。 
           2015 12 31   曽我千春