前回のブログの続き。私自身も、30代でLH-RHアゴニスト製剤(商品名:ゾラデックス・・・お腹に注射)で、すぱっと生理が止まったとき、それまでの自分と明らかに違う身体と頭と心の状態になった。私にとっては、かなりキツイ→しかし貴重な経験だったので参考までに書いてみる(ただし、ここまで影響が出ることはめったにないから、これからホルモン療法をする人も心配しないくていい。対処や工夫はいくらでもできる!と先に伝えてから)→→→
曽我の場合(当時30代前半)、治療が始まり、突然生理が止まり、低エストロゲン状態になった。仕事や病院に向かう地下鉄の中で、突然かーっと顔や頭や身体が熱くなり、汗がぽたっ、ぽたっ、と床に落ちる。え?なにこれ?自分でも驚くほどの大量汗。(首にさり気なく吸水性のよいタオルマフラーやスカーフを巻くことに。扇子は季節を問わず携帯。)汗が引いたら急に寒くて震える。(カバンに常に入れてあるカーディガンを羽織る。)
いつも頭がぼーっとして、集中して何かをする気にならない。TVさえも最後まで見られないし、見る気もおこらない。夜は、なかなか眠れない(いつもは目を閉じて即寝られる人なのに)。寝ていても、突然とび起きて、そこから寝られなくなる。身体に流れる大量の汗。一晩に何度も着替える。朝は、手を開こうとすると指の関節がギシギシする。階段をあがれば動悸、ドキドキバクバク。え、顔にいつの間にかシミ!できてる!でも、そんなことも、どうでもいいほど無気力。なにもする気にならない(生活と治療があるので、仕事は行っていたが・・・気力を振り絞るのが大変・・・仕事が終わると、視線が宙を舞う感じ)。
そして、私の場合、さらにそこに、家族が誰もいなくなるなどの状況が加わり・・・(詳しくはブログ初回をどうぞ)・・・一人の部屋で、寂しさや孤独感が押し寄せて、気持ちがまったく浮上できない状態に。頭はいつも霞の中にいるようなもやもやした感じ。身体の感覚は、肉食動物から草食動物になったような弱弱しさ。光のない深海で目だけぎょろぎょろして身動きしない白い深海魚になったような感じ。
どうしよう!私おかしくなっている!と感じた。そのうちに「自分はだれにも必要とされていない存在かも」などと考えるようになって、「消えてなくなりたい」みたいなことも頭をよぎるようになった。
これは危ない心と身体の状態ではないか、と感じ、当時の主治医に相談した。
Soga「先生、どうもおかしいです。身体と心がおかしい。ホルモン療法の副作用で、うつのような状態でしょうか?身体は、こんな風(具体的に説明)に・・・、心は、消えてなくなりたいような気持になってしまうこともあって・・・」
Dr.「気のせいでしょう!君のような元気な人がうつになるなら、いま、待合室で待っている大勢の患者さん達がみんなうつになってもおかしくない。」
Soga「はぁ~、(他の患者さんではなく、私がダメになっているんですけど・・・)、これはホルモン療法の副作用ではないですか?」
Dr.「気のせいでしょう~。そんなにヒドイ副作用が出るようなものでもない。」
Soga「・・・、・・・、(じゃあ、私がおかしいの?)・・・」
かなりピンチ状態で相談しているのに、主治医はパソコンのほうを向いたまま。
次の診察の時も、「気のせいですよ。考え過ぎでしょ。」とパソコンに向いたまま。
その次の診察時は、「身体と心が自分ではないようだ」と訴えたが、「気のせいですよ。考え過ぎ。」と、目も合わさず終わり。これはキツイ。シンドすぎると思った瞬間、
「先生、私の前に先生はいますが、先生の前に私はいますか!?」
と言ってしまっていた。自分でも、自分の言葉に驚いた。医師も驚いた顔で、パソコンからこちらに向き直って「えっ・・・(顔が固まっている)」。
(医師が忙しいのはわかる!当時は珍しかった乳がんの本を出したばかりのこの医師は、ものすごく患者さんが多く、2分診療あたりまえだった、が、いつも時間をいただいているわけではなく、この日も遠慮しながら短い時間で、でも、本当に困って相談した。しかし・・・)
私は、すぐに、自ら「精神科を紹介してください。」と言って、同じ大学病院の精神科を受診することにした。さらに私は、この瞬間、乳腺の主治医も変えることにした。今と違い主治医を変えることが簡単ではない時代だったが、「このまま、この医師と治療を続けていくことが難しい」と感じた。(この後、主治医を変えてどうなったかは、また別に書くことにする。「主治医とのコミュニケーションと関係」「主治医の言葉」については、今もTODAY!でご相談を受ける事がとても多い大事なテーマなので。)
その後、同じ病院の精神科の診察室に入っていくと、精神科の先生は、私が使用していたホルモン療法の薬について、本(薬剤辞典みたいなやつ)で調べようとしているではないか。
「わ、これから調べるの?そうか、違う科のことはわからないんだ・・・。」ということがわかり、
こうなったら任せてはいられない。自分でも調べるしかない!と、
女性ホルモンについて書かれた本を探し、読み漁り、女性ホルモンがどのようなもので、どんな働きをして、それが欠乏するとどうなるのかを調べてみた。
なるほど!わかった!自分の状態。
女性ホルモンが、こんな働きをしているのを、この時、初めて知った。女性ホルモンってすごい!ほんの少しの、大河の一滴のような量でも、ものすごい働きをする。
でも、乳がんはそれをエサにして増える。治療ではそれを敢えて出さないようにしているのだから、女性ホルモンの本来の働きができないわけで、そのスイッチがオフになっている状態なのだ、ということがわかった。
だとすると、私に出ている不調は、低エストロゲン状態のために起こっている。
「気のせい!」ではない。自分がおかしくなったわけでもなかった。こうして自分の不調やもやもやの原因がわかるだけで、ストーンと腑に落ち、もやもや霞が晴れてきて、心まで整理がつき始めたのだ。
そこから、私は、主治医を変え、カウンセリングで心の整理をし、アロマセラピーや自然と親しむこと、心地いいことを見つけてリラックスしながら身体と心を整え、ホルモン療法を続けた。
大切な自分の身体と心と命は、100%人任せにしてはいけないということも学んだ。
病気になったときは、医学の力、専門家の力はもちろんお借りする。ものすごくありがたいことだ。しかし、それだけではダメ。自分としっかり向き合い、自分できることは自分でもすることだ。自分の置かれた状況や環境は変わらなくても、自分が変わることはできる。人から「気のせい!」と言われても納得はいかないが、自分としっかり向き合い、自分の中から、湧き上がってきたものがあれば、納得でき、気持ちも変り、動き出すことができる。すぐに動き出せなくても、傷ついた動物のように、木のそばで静かに身体を癒しながら、歩き出せるようになるまで、じっと待つことができる。
そのために、恐れずに、しっかり自分の身体と心に向き合ってみる。すると自分の真ん中から命の声(Voice Of Life←わが社名VOL-NEXTのVOLです!)が聞こえてくる。むしろ、本当に困った時、苦しい時こそ、自分の真ん中から湧き上がる声を聴くチャンスだ。次の自分へと進んで行くために。
TODAY!に来られる患者さんの中には、ホルモン療法で「女性ホルモンを出さなくすると、女じゃなくなるから」とおっしゃる方や、「男性のようにヒゲが生えたり、毛深くなるのですか?」などと質問される方がいらっしゃったり、「女性として必要なホルモンを出さなくしたり、バランスが崩れたりするのってどうなんでしょう・・・本当のところ、曽我さん、どう思いますか?」などと聞かれることもある。
私の場合、この治療と副作用を通して、女性ホルモンの力を知り、それを知った上で、ホルモン療法に臨むことで、むしろ、それまでより<女性らしい気持ち>になっていた。ヒゲも濃くはならなかった。女性の身体の素晴らしさ、強さ、弱さを感じながら、丸ごとの自分をOK!にして進んでいく人生の大事なレッスンだと感じた。それは、真の女性を生きる旅の道であるように思えた。自分の身体がとても愛しく思えた。女性ホルモンが順調に働いているときより、愛しいと思った。大げさだけど、これが、女性ホルモンの神秘のように思えてならない。
ところで、私は、ホルモン療法終了後、再び生理が戻り、体調も完全に元に戻った。
そして、何年も経ち、現在50歳、一般的な更年期年齢になり、人生2度目の更年期をむかえている。
また、あのときと同じような身体と心の状態になることがしばしばあるが、2度目なので、焦らず慌てず、「そうそう、こういう感じなんだよね~、更年期だわ」とわかるのだ。ツライときも、なんとかなる!なんとかなる!と、自分にやさしく声をかけることができる(経験と学びが活かされるな~)。
このようなホルモンの力と神秘に出会うことができたし、あのときのことをこうして皆さんとシェアできる。今思えば、「気のせい!」とパソコンを見ながら言い続けた元主治医のおかげだな~。やはり、人生に無駄なことは一つもない。感謝したい。
「生活と心の相談」を、ぜひ、ご利用ください。
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